シワ(エジプト)

地雷爆発はレンジャーの直前だった
朝方にはアシスタンスも到着し、完全整備で後半戦に備える



(未発表)
 
1414DE ROOY 
2407TCHAGUINE 
3410DE AZEVEDO 
4409DE ROOY 
5412KABIROV 
6400SUGAWARA 
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 12日、リビア/エジプト国境の地雷爆発はチームスガワラの目の前だった。
 シワへのSSを終え、リエゾンでリビア出国を済ませた直後に設けられたチェックポイントがその現場。直前を走っていたJ‐P・ライフのマンがCPの黄旗の脇に差し掛かったところで右後輪部で爆発が起こり、タイヤとマッドガードが吹っ飛んだ。車両はその場で沈み込む程度で、比較的小さな爆発とはいえ、ライフは耳鳴りが残ったという。そこはチェックポイントを通過するわだちの真ん中、すでにカミオン5台を含む数十台の競技車が通過したところで、おそらく先行車が地雷を掘り起こす格好となり、ちょうどライフ車の後輪が信管を押してしまったのだろう。SSを8位で終えたレンジャーは7位のライフの直後を走っていたが、リエゾンで急ぐライフを先行させた直後の出来事。それがなければ間違いなくレンジャーが地雷を踏むところで、まさに危機一髪で難を逃れたのである。爆発のあと、チームスガワラは2時間ほどその場で安全確認のため足止めを食ったが、通行を許されて夜半にビバークへ。しかし、レンジャーの後続、競技車76台とアシスタンスカミオンのほぼ全量と多くのアシスタンスカーはリビアの出国ゲートで停められる事態となった。
 アシスタンスは結局朝まで足止めを食い、13日の午前10時すぎにやっとシワに到着した。アシスタンスカミオン、アシスタンスカーと合流したチームスガワラはさっそく予定されていた休息日の点検作業を開始。好天で日向では気温は30度近くまで上がり、埃も酷い環境の中、前半戦の疲れを癒す間もなく整備は夕方まで続いたが、車両は万全の状態に。今夜はクルーも休息を採り、明日からの後半戦に備えることとなった。
 カミオンクラス7番手につけていたライフのマンがリタイヤを余儀なくされたことにより、6位のチームスガワラと7位の間隔は大きく広がることに。現在5位のカビロフとは3時間半強の差がついているが後半戦のエジプトステージは砂も深い区間も予想され、逆転のチャンスはあるはず。首位のリードを広げつつあるジェラルダス・デルーイのダフも全くの新型車。続くV・チャギュインのカマズも新車と、ハード面のリスクも否めない。シャルム・エル・シェイク到着の順位はまだまだ予断を許さない状況だ。

 今大会のカミオン部門のクラス分けはクラス1が4輪車、クラス2が6〜8輪車で共にFIAのグループT4ホモロゲーションを取得している市販車が対象。そしてクラス3はホモロゲーションを持たない、それ以外の車両となっている。つまり、前回と全く同じで、本来レギュレーション変更(フロントエンジンの義務付け)に対する移行措置だったクラス3が今年も新型ユニモグ(メルセデス・ベンツ)のために残った格好。とはいえ、前回はホモロゲーション取得が間に合わなかったタトラ、カマズ、ダフも公認取得によってクラス1に参入しており、また、新型ユニモグのポテンシャルがそれほど高くないこともあって実質的な競技の主体はクラス1に移った。主催者は次回大会では確実にクラス3は消滅するとしており、次回以降はクラス1/2の2部門となる見通しである。
 今大会にカマズは新車の4911を2台、タトラは前軸をエアサスペンション化したT815でエントリーし、この仕様をブラジルのデ・アゼヴェドにも供給している。また、全くの新型車としてダフCF85と新型ユニモグU500、また、競技車としてはじめて新型のメルセデスベンツ「アクトロス」の3348AKも登場した。K・ロプライスのワークスタトラが不慮のアクシデントで戦列を去ったため、現在トップ争いはジェラルダス・デルーイのダフとV・チャギュインのカマズが接戦を展開中。これにA・デ・アゼヴェドが続き、やや遅れてヤン・デルーイのダフとF・カビロフのカマズが4、5位に居る。チームスガワラの日野スペースレンジャーFTはこれに続く6番手。その後方はH・ベクスのジナフで、大型勢の中に中型車が混じっている格好である。ただし、中型車が必ずしも不利とは言えないのも事実で、砂丘ステージでは持ち前の軽量コンパクトな車体を利して大型のライバルに一泡吹かせることも可能。砂が深いとされる後半戦での健闘が期待される。
 

カミオンドライバー・菅原義正
いやあ、地雷は自分が踏む可能性も高かったと思うとぞっとします。ライフさんたちを後部荷台に乗せてビバークまで一緒に来たんですよ。明日からのエジプトは深い砂が一杯あるので楽しみにしています。

カミオンナビゲーター・鈴木誠一
細かいところまでレンジャーを点検することが出来ました。とはいえアシスタンスカミオンから部品を取れるのは良いんですが、スペアパーツとしてはそれほど潤沢に持っているわけではないんです。

カミオンナビゲーター・菅原照仁
ここまでのコースは予想以上に難易度が低かったんですが、後半戦のエジプトでは砂も深く、相応な難所もありそう。ライフさんの不慮のリタイヤで7位とのギャップは大きく広がったんですが、最後まで上位を目指して頑張ります。