日野自動車は22日、本社で記者発表会を行い、次回のダカールラリーカミオン部門に「HINO TEAM SUGAWARA」として日野レンジャー2台体制で参戦することを発表。併せて日野グループの壮行会を開催し、近藤社長、藤井専務らが08年大会に出場するクルーと参戦する日野自動車ならびに全国販売会社から公募選抜されたメカニック6名を激励した。
午前10時半から行われた記者発表会には報道関係者約50名のほかスポンサー関係者ら約70名が出席。日野が91年以来続けてきた参戦活動に対する注目度の高さをうかがわせた。会頭近藤社長が「世界一過酷なダカールラリーでこれまで17年連続完走記録を更新し続けている日野レンジャーは、日野車の持つ絶対的な信頼耐久性の証であり、準備段階に於いて、限られたヒト・モノ・カネ・時間・情報の中で、知恵を結集させる過程は、ものづくりの研鑽を高める機会となる。更に、日野だけでなく、部品メーカーをはじめ、お客様と同じ目的・話題で一致団結できる非常に有意義な活動である。日本の日野から世界のHINOへ雄飛する為、更なる記録に向かい日野は挑戦をし続ける。」と挨拶し、本年よりオール日野の総合力をダカールラリーに繋げられるよう機能ごとに若手の精鋭を募ったワーキンググループ体制を発足させるなどの積極的な取り組みをアピールした。また、「66歳になって厳しいラリーに挑戦を続ける菅原義正さんは中高年の希望の星」とエールを送った。
続いて1・2号車のクルーならびに日野グループから派遣される6名のメカニックが紹介され、1号車ドライバーの菅原義正が演壇に。菅原は今回達成すれば連続20回の大会最多記録となる連続完走に向けた決意を表明するとともに9月22日〜23日に長野県野沢温泉町のオフロードコースで行われた走行テストの成果や、若いエンジニアたちと将来の参戦車両について夜半まで語り合ったエピソードなどを披露。また、今月開催されたエジプトのファラオラリーで、自身が参加し、確認した競合カミオンチームの動向などを紹介しながら「ライバルにも弱点はある。自分は出場選手中の最高齢と思うが、日野車で日本の誇りを持って頑張ってきます」と健闘を誓った。
そして07年大会で排気量10リットル以下クラス優勝を飾った2号車ドライバーの菅原照仁が次回大会の概要について、カミオン部門が市販車/プロトタイプの2部門に分化されること、また、30回目の記念大会とあってエントリー希望者が多くカミオン部門も激戦が予想されるが、これまでよりモーリタニアの砂漠を走る行程を多く含むルート設定によって、砂丘越えなど機動性の高い日野レンジャーが得意とするステージが増えることなどを紹介。2台の日野レンジャーは市販車タイプの排気量10リットル以下クラスに参戦するが、同クラスでの連覇とともに大排気量車を含む市販車タイプ総合での優勝、さらにプロトタイプをまじえたカミオン部門全体の中での上位入賞を目指すと力強く宣言した。
また、昼休み時間に約200名超のグループ社員を集めて行われた壮行会では近藤社長、菅原らの挨拶のあと、藤井専務の音頭でチームに激励のエールが送られ、参戦発表/壮行会は盛大な拍手とともに閉会した。
この日、日野1号館玄関前に展示された2台の参戦車両のうち2号車は10月26日から11月11日にかけて千葉県の幕張メッセで開催される東京モーターショー日野自動車ブースに展示され、閉幕後直ちにフランスへ輸送。チームスタッフも12月初旬には渡仏し、一足先に船積みされる1号車とともにルマン市近郊にあるHINO TEAM SUGAWARAのガレージで年末まで最終調整を行う予定となっている。
なお、この日の記者発表会/壮行会では日野グループから派遣されるメカニックがお披露目となった。人員は総勢6名で日野自動車からは96年、97年のダカールラリー参戦経験を持ち、メカニックの総括を担当する海外部品サービス部中村保史と06年から試作部でラリー車の製作に携わった経験を持つ車両生技部森田淳平の2名。また、全国販売会社からは公募選抜された若林栄次(千葉日野自動車)、杉本一人(福井日野自動車)、竹川公博(長野日野自動車)、浦辺満広(香川日野自動車)の4名が派遣される。メカニックは10月より本社内の試作工場で参戦車両の製作に携わっており、前記の通り12月初旬には渡仏。ラリー本番中は日野プロフィアのアシスタンスカミオンならびにトヨタ・ランドクルーザーのアシスタンスカーに分乗して全行程を帯同し、日野レンジャーのサービス活動にあたる。参戦にあたって各メカニックは以下のようにコメントしている。