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長年に及ぶパリダカ挑戦でマシントラブルによるリタイアを期したことがない、絶対的な耐久信頼性を誇る日野レンジャー。中型車ベースの車両で大型のモンスターカミオンと熾烈な戦いを繰り広げる日野レンジャーは、リトルモンスターの名称で恐れられている。
13年大会に向け、1号車は将来上位入賞を狙う布石として、市販車をベースに新システムを投入した新型レーシングトラックとして開発。2号車は12年の大会でクラス3連覇を果たした車両を熟成させ、上位入賞を狙う。新型車両のメカニズムに迫る。
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競技車両主要仕様(1号車) |
車両名称 |
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日野レンジャー |
エンジン |
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型式 |
J08C-TI(ターボインタークーラー付き) |
シリンダー |
ディーゼル4サイクル直列6気筒 |
排気量 |
7,961cc |
最高出力 |
450ps/2,700rpm |
最大トルク |
138kgm/1,600〜2,200rpm |
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トランスミッション |
: |
6速ダイレクトドライブ 前進6速後退1速パワーシフト付 |
トランスファー |
: |
2速 Hiレンジ:1.000 Loレンジ:1.598 |
サスペンション |
: |
マルチリーフスプリング+スタビライザー+ツインダンパー |
車両サイズ |
: |
全長6,150mm/全幅2,420mm/全高3,050mm |
ホイールベース |
: |
3,750mm |
タイヤサイズ |
: |
14.00X20 |
車両総重量 |
: |
6,700kg |
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■エンジン
日野のダカールラリー参戦の歴史で、初めて電子制御(コモンレール)エンジンを搭載。中低速でのトルクの増大を図り、砂丘越えや悪路走破性の向上を目指す。3,500回転近くまでストレスなく噴けあがるJ08C型インタークーラーターボエンジンは、ダカールラリーで連続完走を続ける、文字通り「原動力」である。13年大会では電気系や燃料系のベンチマークを行い、14年大会で更なる出力向上を予定している。
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■サスペンション&ディスクブレーキ
道なき道で争われるパリダカではサスペンションのセッティングが勝負を左右するといっても過言ではない。操安性を保ちながら、砂丘や岩場、さらには高速時のギャップ通過などあらゆるシチュエーションをこなすセッティングが求められる。使用サスペンションは毎年、改良に改良を加えたニッパツ社製のマルチ式リーフサスペンションに各輪2本のライガー社製のショックアブソーバーを装備する。また、ハブリダクション機構付アクスルに、ブレンボ製のディスクブレーキシステムを新たに採用する。 |
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■アルミホイール&空気圧調整システム(CTIS)
ハッチンソン製の鍛造2ピースのアルミホイールを新採用し、従来の鉄製ホイールに比べ、10kg近い軽量化を実現。また、走行中にタイヤ空気圧の調整が行えるCTISを装備し、エアタンクからエアシールで密閉されたハブベアリングを介して、空気圧を加減する。ラリー時は0.8から3.5キロ圧の範囲内でナビゲーターが絶えず調整する。 |
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■リアボディ
キャブと側面を合わせ空力にも配慮した設計のリアボディは坪井特殊車体で改良を重ね製作されたもの。12年向け新型車両から特殊な軽量幌を使用。改造車のレギュレーション変更にあわせ、構造物を簡素化し、大幅な軽量化に成功した。よってリアゲートや床は存在しない。荷台内にはスペアタイヤ2本と最低限のスペアパーツが積まれる。スペアパーツの選択や少量化も大事な作戦の一つだ。 |
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■燃料タンク
車両両サイドに日本軽金属社製の燃料タンクが合計2つ積まれる。車両規則で800キロの無給油走行を義務づけられているため、総容量は600リッターに及ぶ。左右のサイドパネル内には工具やエアジャッキなどが格納され、パンクなどのトラブル時に即座に対応できる構造だ。 |
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■インタークーラー
インタークーラーは従来のラジエター前からキャブバックに移設。キャブ上からの強烈な巻き込み風を利用することで、冷却効果が大幅に向上している。さらに同列にエンジン、トランスミッション、トランスファーのオイルクーラーも移設されている。 |
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■コクピット
ワイド&ハイルーフ仕様のキャビンに組み込まれた70ミリ口径のロールゲージやレース用バケットシート、ナビゲーション機器類などがラリーカーの雰囲気をかもしだしている。バケットシートはFIAの規格品を、タチエス社で施工したクッション性の高いスペシャル品。長時間走行を強いられるパリダカでは、シートの選定も重要なポイントだ。また、フロントガラスには全面にセイコーステラ社製の特殊フィルムが貼られ、飛び石による破損防止や断熱、UVカットといった効果を発揮している。 |
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