様々なスポーツにおいてゼッケンは重要な役割を担っている。かつてのパリダカでは#100オリオール、#95ヌブーというのが皆の憧れであった。我々TEAM SUGAWARAは98年大会以来連続してカミオンのナンバーワンシードゼッケンである#400のノミネートを受けている。つまり日野レンジャーはパリダカのナンバーワンカミオンとして世界に認められているのである。小排気量の市販車ベースのカミオンで、世界の並みいるモンスターカミオンと互角以上の闘いを続けてきたことへの賞賛の証だ。
 
RANGER
 
競技車両主要仕様
車両名称日野レンジャー
エンジン
型式J08C-T1(ターボインタークーラー付き)
シリンダー直列6気筒
排気量7,961cc
最高出力260ps/2,700rpm
最大トルク76kgm/1,600rpm
トランスミッション6速ダイレクトドライブ 副変速機付き
トランスファー2速 Hiレンジ:1.000 Loレンジ:1.598
アクスルフルフローディング デフロック前後付 4.625
サスペンション前後マルチ式リーフスプリング
車両サイズ全長6,100mm/全幅2,330mm/全高3,100mm
ホイールベース3,750mm
タイヤサイズ14.00X20
車両総重量7,000kg

14年のパリダカ挑戦でマシントラブルによるリタイアを期したことがない(91年のリタイアはドライバーの負傷によるもの)、絶対的な耐久信頼性を誇る日野レンジャー。中型車ベースの車両で大型のモンスターカミオンと熾烈な戦いを繰り広げる日野レンジャーは、リトルモンスターの名称で恐れられている。その強さを支えるメカニズムに迫る。

■エンジン
J08C型インタークーラーターボエンジンは最大回転数の高回転化、噴射ポンプ調整など規定に準じたファインチューニングが施されており、レッドゾーンまでストレスなく噴けあがる。扱いやすさに加え、その耐久信頼性は絶大で、パリダカ参戦14年連続完走を果たす、文字通り「原動力」であることは間違いない。大型タイヤとの組み合わせで最高速は170km/hに達する。
■サスペンション
道なき道で争われるパリダカではサスペンションのセッティングが勝負を左右するといっても過言ではない。操安性を保ちながら、砂丘や岩場、さらには高速時のギャップ通過などあらゆるシチュエーションをこなすセッティングが求められる。使用サスペンションは毎年、改良に改良を加えたホリキリ社製のマルチ式リーフサスペンションに各輪2本のカヤバ社製ツインチューブ式ガス入りショックアブソーバー。
■空気圧調整システム(CTIS)
走行中に車内からの操作でタイヤ空気圧の調整が行える装置。エアタンクから、エアシールで密閉されたハブベアリングを介して、空気圧を加減する。ラリー時は0.8から3.5キロ圧の範囲内でナビゲーターが絶えず調整する。右側の画像が加減圧を行うコントロールボックスだ。
■リアボディ
キャブと側面を合わせ空力にも配慮した設計のリアボディは坪井特殊車体で改良を重ね製作されたもの。外壁には継ぎ目のない1ミリ厚のアルミ板を使用し、骨格とは特殊なのりで接着されている。荷台内には燃料タンクが固定され、スペアタイヤ2本、最低限のスペアパーツにクルーの私物が積まれる。スペアパーツの選択や少量化も大事な作戦の一つだ。
■燃料タンク
リアボディ内のものを含み日本軽金属社製の燃料タンクが合計3つ積まれる。車両規則で800キロの無給油走行を義務づけられているため、総容量は550リッターに及ぶ。左右のサイドパネル内には工具やエアジャッキなどが格納され、パンクなどのトラブル時に即座に対応できる構造だ。
■フォグランプ
補助灯として小糸製作所社製HIDランプを6個装着。夜間でも真昼のような明るさで広範囲を照らすHIDランプは、夜間走行の多いパリダカでは重要なアイテムだ。フォグランプをはじめ灯火類にはストーンガードとして破損防止用の特殊フィルムが貼られ、光量を落とさない工夫もなされている。


 
■コクピット
ワイド&ハイルーフ仕様のキャビンに組み込まれた70ミリ口径のロールゲージやレース用バケットシート、ナビゲーション機器類などがラリーカーの雰囲気をかもしだしている。ただ、カミオン部門の出場車両はこれらの安全装備品やナビ廻りといった、必要最低限の改造以外は認められていないため、メーター廻りやダッシュボードなどは市販車両と変わらない。
バケットシートはFIAの規格品を、野口シートで施工した、クッション性の高いスペシャル品。長時間走行を強いられるパリダカでは、シートの選定も重要なポイントだ。また、フロントガラスには全面にセイコーステラ社製の特殊フィルムが貼られ、飛び石による破損防止や断熱、UVカットといった効果を発揮している。


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