南米での開催3年目となった2011年大会はときには3000mを超える高標高や急な登りが延々と続く砂山越え、最高気温50度にも達する灼熱の砂漠など、以前のアフリカとはまた違った過酷なステージが15日間約9500kmにわたって設定された。また、カミオン部門には大型改造部門の常勝チーム、ロシアのカマズをはじめパワーアップしたタトラ、マン、イベコ、ジナフなど900馬力級の大型勢が多数出場し、中型トラック日野レンジャーで上位を狙う日野チームスガワラにとっては厳しい状況となっていた。
しかしラリーがスタートすると2台の日野レンジャーは粘り強く健闘。パワー勝負の序盤戦では冷静にペースを保ち、チリに入って難易度の高い砂丘ステージが始まると一挙に順位を浮上させた。そして2号車が市販車クラスの首位に立ち、1号車とともに排気量10リットル未満クラスのワン・ツー体制をかためると転倒車が続出するなどトラックには危険度の高い終盤のステージを落ち着いて走破。日野自動車が初参戦した1991年大会以来20年目の節目となる今大会で見事市販車クラス優勝と10リットル未満クラスの1・2位を獲得し、ゴールでは日本から駆けつけた日野自動車の近藤詔治代表取締役会長、藤井恒彦専務取締役とがっちり握手をかわした。
改造部門の大型車勢に対し、市販車部門仕様の排気量10リットル未満の車両で総合9位に食い込んだ結果は日野レンジャーの優れた走破性と耐久性の証左であるとともにチームの総合力の高さを裏付けるものと言えるだろう。
カミオン部門のスタート台数68台に対してゴールしたのは41台と同部門としては少なく、部門の完走率は60%。2輪、4輪を含めた全体の完走率は50.1%という例年にない過酷な大会であった。